ネット対応、トレーディングカードなどの付加価値を伴ったビデオゲームが、新機軸からロケーションの定番へと変わりつつあるが、今回のショーでは、その稼働実績やユーザー・オペレーターの声を反映し、さらに新要素を加えた製品が目立った。見方を変えれば、いわゆる「続編もの」が多いということになるかもしれないが、ひと工夫を加えたり、明確な戦略意図を持った続編とすることで、ユーザーの満足度をより充実させようという意気込みが各社から感じられた印象である。 170小間の最大ブースで、サミー製品を含めて出展したセガからは、マルチターミナルのカードゲーム『アヴァロンの鍵』の続編となる『アヴァロンの鍵2 ー秩序と戒律ー』が登場。キャラクター・カードの追加、画面デザインなどのリニューアルに加え、新たに一人用モードが追加された。続編は間口が狭くなりがちだが、新規ユーザーにも遊びやすい仕様となっている。同じくマルチターミナルタイプでは、オンライン対戦可能なゴルフゲーム『セガゴルフクラブ ネットワークプロツアー』が出展された。簡単な操作で本格的なゴルフ対戦を楽しめる。さらに、体感可動筐体CYCRAFTシリーズ第3弾『頭文字D ARCADESTAGE Ver.3 CYCRAFT(仮称)』、攻撃方法を変更する「ショットセレクター」や「アクションボタン」が装備されたガンシューティング『ゴースト・スカッド』が出展、多くの来場者の目に留まっていた。基板モノでは、人気サッカーシリーズの最新作『バーチャストライカー4』がやはり注目を集めていた。ゲームシステムの進化に加え、ネットワークシステム「VS.NET」の導入により、フォーメーションのカスタマイズやエディット選手の投入など、より楽しみ方が広がっている。また、PCゲームでブームとなった『月姫』の格闘ゲーム『メルティブラッド』のアーケード版『MELTY BLOOD Act Cadenza』が出展、PCゲームからアーケードへの移植という新たな可能性を提示している。 サミーは、簡単なボタン操作で多彩なコンビネーションが行えるAW-NET対応の3D格闘『拳獣』、ネットセレクトシリーズ対応の競走馬育成シミュレーション『ネットセレクト競馬(仮称)』を出展。また、ネオジオでリリースされたタイトルのキャラクターが多数登場する2D格闘『NEOGEO BATTLE COLESIUM』が映像出展され、ファンの期待を集めていた。 安定感十分なタイトルの続編で話題を集めていたのは、ナムコとカプコン。ナムコからは、『鉄拳』シリーズ最新作となる『鉄拳5』が登場。キャラクターカスタマイズなどでネットワーク対応している。さらに、全国の設置店舗で行われている対戦の模様をライブ中継することが可能なライブモニターにも関心が寄せられていた。ライトユーザーの取り込みというより、既存ユーザーの満足度アップに注力している感のあるこれら2タイトルは、中小オペレーターに特に好評であったようだ。また、ナムコは『ドラゴンクロニクル』の続編で、オンライン対戦に対応した『ドラゴンクロニクルオンライン 天空大決戦』も出展。システムも進化し、より遊びやすくなっている。さらに、タッチパネルで遊ぶマルチターミナルのアクションゲーム『ザ・バトル・オブ・ドルアーガ(仮称)』を参考出展。まだ開発開始直後ということで、内容はこれからどんどん変更が加えられていくとのこと。1パーセント未満という開発度の低さにもかかわらず、多くの注目を集めていた。カプコンは、これまでに登場した対戦ゲームのキャラクターが集合した『CAPCOM FIGHTING Jam』を出展。久々のカプコン2D格闘ということもあり、大きな期待が寄せられていた。 タイトーは、先日発表したPCベースのシステム基板「TAITO TypeX」のタイトルを出展。第1弾ソフトとして、縦スクロールシューティング『ギガウイング』シリーズの最新作『翼神』を展示した。また、ネットワークシステム「NESYS」対応第3弾となるプロ野球監督シミュレーション『ハリキリオンラインプロ野球』を参考出展。全国規模のペナントレースもプレイできるようになるとのこと。同基板には、『翼神』を制作したタクミコーポレーションのほか、『式神の城』シリーズのアルファシステム、『斑鳩』のトレジャー、今回『虫姫さま』を出展しているケイブといった、シューティングゲームをメインで開発している開発会社や『ギルティギア』シリーズのアークシステムワークスなど多くの会社が参入を表明した。 アルゼは、独自のネットワークシステム「ぷらっとネット」を利用した大型ビデオゲームに注力。ベンダーで購入したフィギュアユニットを使用するRPG風ボードゲーム『ダイダロスの迷宮』、オンライン対戦麻雀『雀凰道』、オンライン潜水艦バトルゲーム『バトルマリンアーケード』を出展した。また、PCの大人気ゲーム『イース』『ソーサリアン』のアーケード版『イースAC(仮称)』『ソーサリアンAC(仮称)』の開発も発表された。 このほか、会場の注目を集めていたのは、バンプレストの『機動戦士ガンダム バトル・オペレーティング・シミュレーター』。「機動戦士ガンダム」をモチーフにしたコクピット型シューティングアクションで、ミッションをクリアしていく戦闘訓練を疑似体験する。キャラクターの知名度が十分なだけに期待が持てる。リバーサービスからは、ケイブ製のシューティング最新作『虫姫さま』が出展された。敵弾の少ないモードを追加するなど初心者でも楽しめるよう配慮されており、プレイヤーの先細りが顕著なシューティングにおいては意義のある試みと言える。 ターゲットユーザーをさらに絞った傾向が感じられる今回のビデオゲーム。各タイトルの特徴を理解したうえで、自店舗に見合った製品選択をより慎重にする必要があるだろう。タイトーの「TAITO TypeX」といった、PCベースのシステム基板の登場もロケーションに新たな風を起こす可能性を秘めている。ソフト開発費を抑制できるため、中小メーカーが参入しやすく、市場投入の直後から充実したタイトル数が期待できる。 つぎへ |
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